副業を解禁する企業が増える傾向にある中、実際数としては副業解禁に足踏みをしている企業・個人が多いのも事実です。
何が彼らの足を止めているのか、そして副業・兼業の本当のメリットは何なのか。
企業と個人、双方の視点から考える『イノベーションのための副業・兼業』イベントが開催されました。
はじめに
One HRという企業の人事系業務に携わる有志で結成された団体が主催した今回のイベント。
One HRは、主にHR事業者に在籍する若手メンバーで構成している任意団体です。現在、運営事務局は約20名。企業人事と個人を中心とした300名程度のコミュニティを有しています。
「Innovation by HR」を謳い、事業の創出・産業の活性化・個人の成長に繋がる、これからの「個人」と「組織」の関わり方を、国家・企業人事・個人の3プレイヤーと共に研究・実践・発信する活動を行っています。
One HRのホームページはこちら
https://onehr.amebaownd.com/
One HRは様々なイベントを開催されていますが、個人・人事だけでなく、国家も巻き込んだ
イベントであるところが特徴です。今回も経済産業省の藤岡さんがモデレーターとして
参加されていました。
モデレーター 経産省の藤岡さん
パネラー 文系フリーランスの黒田さん
Work Design Labの石川さん
キャスター・働き方ファームの石倉さん
冒頭では資金は様々な手段で集められる時代になって来た中で、企業としての
競争力をどう保ち、上げていくかが国としても課題であるというお話が出ていました。
また働き方を考えるとき、家族と過ごす時間など、仕事以外の時間をどう使うかが
実は大切だというのはとても納得がいきました。
そこに立ち返ると、そもそも個人としてどんな働き方を望むのかは
結構明確になってきます。
加えて結婚されている方の場合、夫婦2人ともが自由な働き方ができないと、
どちらかがボトルネックになってしまうというお話も今の時代ならではの新発想だなと。
夫婦のどちらかがいわゆる旧来の働き方の会社だと、結局時間、場所、給与などに
縛られて旧来の働き方基準で生活を組み立てざるを得なくなるので、
ライフスタイルを一新するのが難しくなるんですね。
そんなお話があった中で、企業として、個人として、副業・兼業にどんなメリットがあるか。
企業としてのメリット
一番よく言われるメリットではないでしょうか。
社内の脳だけでは、もう予定調和な解決策しか生まれない。
特に新規事業部門では、副業者が社外から色々な情報、知見、人脈を放っておいても
持ってきてくれます。
一方で管理部門やオペレーションの部分では必ずしもメリットがあるとは言い難いようです。
それは情報に関わるリスクであったり、そもそも定型化されたものを回すことが
求められている中での個々人の自由な動きは逆に障害となったり。
今や時間・場所が縛られている企業を就職の対象から外す学生も多いようです。
リスクはもちろんあるけれど、そのストッパーを外すだけで採用が圧倒的に楽になる。
ヒトモノカネのコスト調達負荷に対して、ヒトの調達コストが上がってきている時代に、
ストッパーを外すだけで母集団が増えるのはかなりのコスト減になる、と。
しかも学生だけでなく、優秀な人ならなおさら時間・場所・給料に縛られたくない
という人が増えています。
優秀人材の獲得という面で企業としては圧倒的なメリットがあるということでした。
個人のメリット
これはフリーランスの黒田さんが仰っていて、本当にそうだなと。
働くことの報酬としてお金がフィーチャーされやすいけれど、実はその他にも
報酬って6個くらいある、と。6個全てをあまり正確に覚えていないですが、
例えば満足感だったり、貢献だったり、学びだったり、儲けだったり。
一つの仕事で儲けも貢献も、と全ての報酬を満たそうとしても結構難しい。
けれど副業をすると、ここでは貢献して、ここでは儲けて、と自分にとって最適な
報酬のポォートフォリオが組めることがメリットである、と。
これは石川さんが仰っていました。内なる声というのは、
要は自分のやりたいことがわかるようになるということです。
副業なので、やりたくないことはそのうち止まってしまう。
でも、やりたいことは続けられる。
さらに副業で実践して身体化(経験を体に染み込ませるイメージ?)すると、
クライアントへの提案でより価値提供できるということでした。
多種多様な企業で働けるし、働き方も選択できる、ということかと
思っていたのですが違いました。
石倉さんが仰っていたことですが、転職すると現実的には年収が下がる人の方が
多いという現実がある中で、1つの仕事だけで高い収入を持っている人は
逆に転職しずらく、会社が潰れた時の衝撃も大きい。
3つの収入源で300万ずつの儲けがあるとすると、1つがダメになっても
300万くらいだったら転職できる企業は多くある。
でも1つの会社で1000万の年収がある場合、同じ年収を保てる会社は少ない。
年収っていうのはあげすぎると逆に選択肢が減るというのは、確かにその通りで
衝撃的な考え方でした。
副業だと新しい領域に挑戦できるので、学び直しの機会を持てる。
これは藤岡さんのご意見でした。
学び直すことって、きっと視野を広げるし、現在の仕事にも効いてくる。
黒田さんも言ってましたが、理系は専門性を磨いてエッジを効かせていくイメージですが、
文系の場合はスキルをポータブル化して横展開していくことで越境人材になれる、と。
グループワーク
ゲストによるパネルディスカッション後は、参加者がグループに分かれ
グループワークを行いました。企業・個人の複業・兼業へのボトルネックとメリット、
そして一歩踏み出すためには?ということを話し合いました。
私たちのグループは藤岡さんに入っていただき、教育系・金融系・人材系・公務員系の方と
多様なメンバーでワークができました。
メンバーのバックグラウンドが異なるので、興味関心がある分野が異なるも、
課題として感じていることは共通するところもありました。
やはり企業としてのボトルネックは「コミットメントへの不安」「労務管理のリスク」など。
これに対しては石倉さんが仰っていた「オンラインだと2倍は仕事できる」
「企業側が副業者に遠慮せず、週3日の契約で週5日分の仕事を割りあてる」などは
参考になるなと思いました。
個人のボトルネックは副業の受け入れ先がない、ということや
そもそも何をやったらいいかわからないということでした。
キーワードは「条件つき」と「ゆるやかに」
企業が副業解禁する場合、現実路線はある程度の条件をつけるが濃厚だなと思いました。
ただ条件が多く、申請が煩雑で活用が進まないというのは容易に想像できますが・・・
いずれにしても、キーワードは「ゆるやかに」だと思っています。
企業にしても個人にしても、です。
そして個人レベルでいうと、何がきっかけになるかわかりません。
入念に計画して自分の道を進んできたという少数派の強者はいると思いますが、
たいていの人は偶然なのか必然なのか、ひょんなきっかけから今の道を
進んでいることが多いです。
ただひょんなことが起こった時に、それをキャッチできる自分である必要はあり、
そもそもひょんなことが起こるときには、必ず人との関わりがあるなぁと感じています。
人との関係性も一発逆転的なものってあまりなくて、
継続した人間関係の中からひょんなことが起こるなぁと。
初対面で情熱的にビジョンを語って人を惹きつけられる人に憧れますが、
私はそういうタイプではないし、自分にすごいパワーがないと自覚しているからこそ、
尊敬する人たちと継続して、誠意を持って付き合っていくことで自分を表現したいと
そう思っています。
副業に限らずですが、「ゆるやかに」と「継続」は不可分。
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