時間に対する意識を変えれば「働き方改革」はうまくいく

サイボウズの「リアル アリキリ」の動画を見た方は多いのではないでしょうか?

動画とても面白いのでぜひ見てみて欲しいのですが、それに関連したイベント
『リアルアリキリと女王さまのぶっちゃけトーク会〜働き方改革のなんで?
どうしたら?がわかる!〜』に、中村龍太さんにお声かけいただき、参加してきました。

プレゼンターは井ノ上美和さんと中村龍太さん。



グチ禁止

まずは主催者である井ノ上さんから「このイベントはグチ禁止だからね!」という
一声から始まりました。

気づきを持って帰ってもらわないと意味がない、
愚痴の言い合いは新橋でやってくれとのことでした笑

イベントではslidoを使って、アンケートをリアルタイムにとります。
今回のイベントに参加している人の属性をアンケートでとっていました。


最終的に一番多かったのは「特に社命での活動はないが、
個人的に働き方を見直したと考えている管理職」で48%でした。

 

そもそもなぜ働き方改革か?

ここが議論されていないために、日本の働き方改革は目指す方向性が
バラバラだったり、何をやっているのかわからなくなってきたりする。
ではなぜか?というと、「今までの働き方じゃムリ」だからです。

これまでの働き方でいいのなら、何も変える必要はない。
「ムリ」というのは具体的にどういうことかというと、
要因は多々ありますが、端的に言うと環境の変化が要因なわけです。
少子高齢化、それに伴う労働人口の減少、IT化や事業のスピード化、
事業・会社の短命化などなど。

これまでの日本の就社型に限界が訪れたということ。

労働人口も単純に減少するだけでなく、労働人口の年齢構造を見ると
20年後には若者が少なくなり、50〜60代が多くなるため、
長時間労働もできないし、重いものも持てないし、寝ずに働けない。
つまり頭数が減っただけでなく、労働者が持つ全体的なパワー自体が
減っていってしまう。

だから女性もシニアも働ける人はみんな働いてーーー!!!というわけで
女性活躍・シニア活用につながっていく。

これまでの日本企業は入社したら10年は修行だ!10年かけて育成します!という時代だったけれど
今は10年も修行している間に、市場も変わって、やるつもりだった仕事がなくなって
しまいには会社もなくなる、というスピードで世界は動いている。
修行が不要というわけではなく、悠長に修行してたら間に合わない時代なんですね。

このあたり実は国も認識していたけれど、これまではそれぞれの企業にお任せして委ねていた。
でも本当にそろそろヤバい!となって、国が本格的に介入してきているのが今。

 

女性活用

女性活用というのも、今に始まったわけではなくずっと前から言われていたことなんです。
男女雇用機会均等法が制定されたのが第1次女性活用ブーム、
それから何度か女性活用ブームがきては、失敗をしてきた歴史があるんですね。

だからその歴史を知っている人は、今の女性活用・女性活躍にもピンとこない。
「もうこれまでもやってきたけど、ダメだったじゃん」と。

そんな中で重要なのが、
なぜそもそも女性活躍なのか?

ここからはかなりデータを多用して、働き方改革・女性活躍についての
本質について、井ノ上さんが説明してくれました。
アベノミクスにおいては、経済がうまくいっている国は女性が活躍している国だという
データのもと、安倍政権では女性活躍と言われている。

世界と日本の差としては、ジェンダーギャップの項目が一番顕著。(136カ国中105位)
これつい最近の発表では、114位との報道がありましたね。さらに後退・・・。

下の図は、妻と夫が家事・育児をどのくらいやっているかを示しています。
日本女性がいかに家事・育児に多くを費やしているかがわかります。
そして男性を見てみると、いかに世界に比べて家事・育児をしていないかがわかります。

女性活躍を推進する本質的な目的は、「経済成長につなげたい」からです。
では女性が活躍すると、生産性は高くなっているの?
経済成長につながっているの?ということころですが、
下の例1では法を上回る育児休業制度を取り入れた企業の生産性が
上がったのか?を検証しています。
これ一見生産性上がっているように見えますが、よく見ると
育休を導入した企業の生産性はもともと未導入の企業より高いです。
(データに騙されないでしっかりと読み取ることが大切ですよーと井ノ上さん)
つまり、このデータだけでは生産性が上がっているかわからないんですね。

続いて下のデータです。例2では同じ属性の企業を比較しています。
結論としてはデータにもあるように、WLB施策はTFP向上に
寄与してはいるけれど、施策の種類によって効果は区々である、と。
つまりこれさえ導入すれば生産性が向上するという画一的な施策はない、
ということです。

これらはつまり、女性が活躍している企業は生産性が上がっているというよりも
女性が活躍できる環境がポイントであることを示しています。
女性が活躍しやすい環境というのは、男女問わず働きやすい環境であり
生産性が高まる環境だからです。

 

シニア活用

労働人口が減少するので、シニアにも働いてもらおうとするけれど、
シニアで活躍できる人が実は少ないのが現状。
活躍できる人材は引っ張りだこなので、定年になってもそもそも仕事がある。

それでも国に定年延長を求められるので企業としては
やってもらえる仕事がない中で無理やりシニアのための仕事を作ったりしている。

龍太さんからは「それこそしてもらう仕事がないなら副業させたら?と思うけど」
というお話が出るも「情報漏洩が怖いのでなかなか副業は進まない」と井ノ上さん。

個人的に興味深く、現実は厳しいなと思ったのは、
「大手企業の偉い役職についていた人は、会社をやめた瞬間に人が去っていく」
という事実。井ノ上さん曰く「名刺を取ったら、だたのオヤジ」と(笑)

これは偉い役職の方に限らず言えることで、大手企業社員は往々にして名刺を取ったら何もない。
ただ役職が偉ければ偉いほど、今までの周りへの影響力を自分の実力だと考えてしまっている人は
実際の自分のとのギャップがありすぎて、その落差を認めて受け入れるのは大変だろうなと。
たとえ、みんな自分の役職に影響されていることがわかっているつもりの人でも、
現実を目の当たりにしたらショックは大きいだろうなと。

井ノ上さんは、大手企業の偉い方が2ランクくらい下の会社にシニア雇用された例をお話されていました。
雇用した会社としては「こんなに偉い人なら影響力もあるだろうし、いい人材や人脈を
引っ張ってこれそうなので、多少高めの報酬を払っても雇用しよう」という狙いを持っていたけれど、
実際にはお客様や人脈は「その人」についていたわけではなく、「大手企業」についていたので、
2ランク下の会社に就職した人には人材も人脈もついてこなかった、と。

 

女性も働きやすい・活躍している国のデータの罠

日本の労働環境や現状を把握するときに、よくスウェーデンなど北欧の国が
比較対象とされることが多いです。それはなぜか?
それは日本にとって、都合の良いデータを持っている国だからです。

ですが、それを鵜呑みにするのは危険だということでした。
なぜなら北欧諸国と日本では労使の前提条件が全く異なっているからです。

今、日本でも話題である「同一労働同一賃金」に関しては
もともと海外では『男女の格差』を埋める施策として始まったものでした。
男女で同じ仕事をしているのに、女性の賃金が低いのはおかしい、と。

日本ではこの「同一労働同一賃金」を正規雇用・非正規雇用に当てはめて
議論をしています。
ですが、日本では正規雇用の総合職は「転勤と言われたら2週間後には転勤する」
一方、非正規社員はそういった労使条件ではなかったり、労働組合の仕組み自体が
海外と日本では異なってたり。

なので、その点を理解せずに「同一労働同一賃金」について、海外がそうなんだから
日本もそうするべきだ!と単純に考えるのは本質を捉えていないと。

また労働時間についても、日本人は働きすぎとよく言われているが、
アメリカの管理職は日本人よりもよっぽど働いている、とか。

家族と必ず夕飯を食べているイメージのあるアメリカ人ですが、
家に帰って家族と夕飯を食べた後に働いていることは普通だし、
緊急時は夜中であっても管理職はすぐに召集される、とのこと。

 

ダイバーシティには2種類ある

ダイバーシティには実は2種類ある、という話もかなり衝撃的でした。
私が思っていたダイバーシティは目指すべきダイバーシティではなかった、と。

かの有名な入山先生が提唱されているダイバーシティ論だそうなのですが、
「タスク型ダイバーシティ」と「デモグラフィー型ダイバーシティ」

デモグラフィー型ダイバーシティ

日本企業が推進しているダイバーシティはほぼこれですね。
恥ずかしながら私はこちらしか知らなかったです。

こちらを推進すると企業の思惑とは逆に、カテゴライズ化がすごい勢いで進み、
内部分裂が起こるそうです。今、私たちがやっていることって・・・。

国籍・年齢・性別問わず、同じ仕事にチームとして取り組むことの意義は
私はあると思っていますが、ダイバーシティを進める目的で
女性採用・外国人採用をすると逆効果だということなんですね・・・。

井ノ上さんはこちらはむしろやめた方がいいと仰ってました。

例としては、外国人にとっての各国の働きやすさ調査の例を出していただきましたが、
外国人にとって日本は「住みやすいけど、働きたくない国」なんだそうです。

 

タスク型ダイバーシティ

こちらは少しイメージしにくいですが、例えを出すならば
同年代の男性同志であっても、異なる経験や知識を持っている人が
集まり、一つのプロジェクトなりに取り組むこと自体が
ダイバーシティであるということです。

こちらを推進すると、新しい気づきが得られたり、いろんなアイデアが
混在したりするので、イノベーションが生まれやすい土壌になるというわけです。

 

ブレイクタイム「何で今日ここにきたの?」「もやもやを話し合おう」

これらの話を聞いたあとに参加者同士でワークを行いました。
「そもそも何で今日ここにきたの?」その理由が、あなたのモヤモヤなのかも!

みんなで話します。そしてみんなで話したあとでSlidoで今話したモヤモヤをぶっちゃけます。

 

そもそもなぜ働き方改革がうまくいかないのか

本質を見ないという教育

原因の一つとしては、日本人は本質を見ないから。
では、なぜ本質を見ないのか?
それは戦後の教育もあって、本質を見ないような教育体系が組まれてきたから。

これはなかなかの日本の損失?失敗?諸悪の根源?ですね。
でも昔はうまくいってたわけですからね。
やはり大成功の体験を捨てて切り替えるって相当難しいんだなーと。

どこまでも仕事がある

一つの仕事に対しての完成・目標の基準が曖昧。
あるあるですね、なのでどこまでも仕事があるという。
上司に持っていっても突き返される。
突き返す方が明確な指示をしないので、突き返された方としても
指示されていることが不明瞭。どこまで何をどうやったら、どう評価されるか
わからず、やり続けるしかない、と。

時間に対する意識が薄い

日本人は今日も明日も同じように時間があると思っている人が多い。
井ノ上さんは海外に住んでいた時に、自分の不注意や意志とは関係なしに
亡くなる人を間近で見てきた経験から、時間に対する意識は強いということを
仰ってました。もしかすると日本が平和であるがゆえ、なのかもしれないですね。
(殺人強盗とか、銃で撃たれて死ぬとか確率的には高くないので)

一番刺さったのはオボチュニティコストでした。
今これをやっている時間は、他のことはできないわけです。
今これをやっている代わりに、この時間でできたかもしれないすべての
可能性を捨てている。例えば今日セミナーにきた時間を、
仮に合コンに行っていたとしたら、運命の人に会えたかもしれない。
でもそのチャンスを逃してまで、私たちはセミナーに行っている。

結局働き方改革は個人の意識改革

日本人はプロ意識がないとよく言われるそうです。
それは就社型の日本の文化もあるのかもしれない。

井ノ上さんのメッセージとしてはとにかく意識してほしいのは
「自分のプロ意識」。上が・・・部下が・・・と言っているうちは
言い訳でしかなく、プロ意識がない状態だと。

自分の時間をどう使うか=意識改革=働き方改革

まとめ

「そもそも」を考える、その本質を考えないとすべての議論はかみ合わず
ずれていく。何のためにやっているのかわからなくなる。
これが改めて勉強になったことでした。
あとはデータ分析とか、鋭い読み方ができるよう
もっと学ばなければいけないなとも思いました。

私はここ最近時間に対する感覚はかなりシビアになっているので
常にベストな時間の使い方を選択している自負はありました。
(そこには休むとか、今日は寝るぞ!という選択肢ももちろんある)

そしてその行動自体は間違いではないと思えましたが、
一方で「会社を変えようと必死になって時間を使ってもいいけれど、
それに時間を費やしている間に、もっとできることがあるかもしれない」
という井ノ上さんお話にはハッとさせられるものがありました。

自分が本当に時間を費やすべきことは何なのか。
それは人によって違うし、自分がそうだと思えば間違いなんてない。
これは他人にとやかく言われる問題ではない、ということです。

そのことに向き合い、自分の中で腹落ちする結論を導き出して
走り出している人は「プロ意識」を持つんだろうなと。

私自身がむしゃらにあらゆることに目を向け続けると決めて、
そのリミットとして、自分が設定したのが今年の年末です。

もう11月、あと2ヶ月。

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