目次
「好きな音楽ジャンルの話」は意外に難しい
好きな音楽って何?っていう話、伝えるのも理解するもの結構難しいと思っている。
自分が何を聴いてきたか、どんなジャンルが好きなのかって、音楽をやっているとよく聞かれる。でも、それをうまく説明するのは難しいし、逆に相手の好きなジャンルを理解するのも案外難しい。しかも好きな音楽って変わっていくものでもある。今好きな音楽と、昔好きだった音楽が全然違っていても全然いい。
そういう「ルーツ」みたいな話って、バンドを組むとか、レッスンを受けるときにもけっこう重要になってくる。あまりにジャンルが違うと、やりたい音楽の方向性が合わなくなったりもするし、ジャンルで募集するのが普通だったりもするし。
楽器のレッスンでも「何を弾きたいか?」って聞かれる。ジャンルによって技術も考え方も違うし、そういう意味でも好きな音楽ジャンルって、実は結構大事だったりする。
自分の音楽遍歴
自分自身はというと、子どもの頃にピアノをちょっとやった程度で、ほとんど音楽教育は受けていない。ピアノは楽しくなかったし、楽譜も読めなかったから、どうやってやめるかばかり考えていた。
学生の頃に聴いていたのは、J-POPとか、小室ファミリーとか、ゆず、B’z、あと友達の影響でバンプやモンパチとか。今もバンドブームっぽいけど、当時もわりとバンド全盛だった気がする。ただ、当時は完全にスポーツ少年で、音楽はただ流れていたものを聴いていただけ。今みたいに意識して聴くこともなかったし、洋楽もほとんど知らなかった。
楽器を初めて手にしたのは大学以降。ギターをやってる友達が多くて、自分もそれでクラシックギターっぽいのをもらって弾くようになった。でもそれもただの弾き語り的なコードジャカジャカで、特に深掘りすることもなかった。
ギターにハマった/SPECIAL OTHERS
転機が来たのは、20代半ば。友達に誘われてスペシャルアザーズというインストバンドの音を聴いたときだった。特にギターの音が衝撃的で、初めてフルアコの存在を知った。フルアコでアンプを通したあのメロウな音は、それまで自分が知っていたアコギのジャカジャカや歪んだエレキとはまったく別物だった。色々好きな曲があるのでyoutubeを貼っておく。野音のめちゃくちゃいいので始まりだけでも見てほしいです。
ゆったり、激しく、カッコよく踊れる曲もたくさん!
「エレキってこんなに綺麗な音出せるのか」と感動して、そこからギター自体にハマっていった。
調べていくと、フルアコは主にジャズで使われていることが多くて、そこからジャズギターに興味を持つようになった。最初はスペシャルアザーズみたいなインストの世界を目指していたのに、だんだんとジャズという沼に引き込まれていった。
ジャズギターへの挑戦と挫折
ジャズギターをちゃんとやってみたくなって、ネットで見つけた教室に行った。けど、いざレッスンを受けてみると全然わからなかった。コードの度数も分からなければ、理論もピンとこない。指も動かないし、課題曲にも特に思い入れはない。
結局、発表会に出たあとすぐにやめた。
教室の飲み会にも顔を出してみたけど、みんなジャズに詳しくて、話にもあまり入れなかったのを覚えてる。
でも、それでもジャズギターを弾きたいって気持ちはあって。YouTubeでジャズギタリストの動画をよく見ていたし、アドリブで指板を駆け回るあの感じにすごく憧れていた。自分もああいうふうに弾いてみたいって気持ちが強かった。
セッションに挑戦
それで、いわゆるジャズのセッション練習会みたいな場所にも参加してみた。いろんな楽器の人が集まって、決まった曲をセッションするっていうもの。
基本的なジャズは歌わない人たちで弾いてたから、ボーカルがいない感じでセッションしてた。そうなると、結構ロストしちゃうんだよね。歌がないから「今どこ弾いてるの?」ってなりがちで。特に繰り返しの多い構成だと、それが余計に混乱を生む。
自分の番が回ってきても、どこから始めたらいいかわからなかったし、コード感や小節感もそこまで強くなかったから、ロストしたら自分のソロがどこまでなのかすら分からなくなる。そんな感じのことを繰り返してた。
でも同じ曲を繰り返しやることで、その練習会の中では多少弾けるようになっていった。ただ、やっぱりどこかでつらかったんだと思う。自分の中でジャズの曲がものすごくやりたいわけでもなかったし、そういう状態で続けるのはしんどくて、結局やめてしまったというのが正直なところ。
SOULGAUGEとの出会い
ここで初めて「自分の好きな曲ってなんだろう?」って考えはじめた。でもそれがまったく分からなかった。ジャズギターの音色は好きで、「ジャズが好きなのか?」って思ってたけど、曲としてのジャズはそんなに好きじゃなかった。ジャズっぽい雰囲気は好きなんだけど。
J-POPでもないし、となると一体自分は何が好きなんだろうと、途方に暮れてた。でも、わかったんだよね。あるとき、好きなギタリストがいた。それが「SOULGAUGEっていうギターデュオ。井草聖ニさんと磯貝一樹さんの二人組。
この二人、ジャズスタンダードからポップス、オリジナルまで、比較的ジャズ寄りのアレンジで弾いてて、技術もめちゃくちゃあるし、何より音がすごく好きだった。ライブにもよく行ってたな。しかもすごく近くで見られるんだよね。
<隅田ジャズフェスティバルで楽しそうに演奏する2人>
これ余談だけど、ギタリストって意外と会えちゃうんだよね。有名でも距離が近い。実際、磯貝さんには習ったこともあるし、教えてもらえちゃうレベルで、身近に会える存在だった。(もう解散してしまったし、磯貝さんはK-POPアーティストのサポートとかDeftechのサポートとかで有名になってしまったのでレッスンとかもやらないだろうな。でも何気にCDを2枚買っている笑。かなり貴重!?)
ネオソウル+α
そんな感じで磯貝さんが好きで、「自分の好きなジャンルってなんだろう?」って探してたときに、「磯貝さんの演奏スタイルがめっちゃ好きだ」と思った。で、彼の曲を何曲かコピーして、YouTubeに上げたり、上げなくても個人的に練習してた。
その時期が、ジャズに挫折した後にやってきた。「好きな曲だけ弾こう」と思って、彼のニュアンスや音使いを真似してた。その中で「磯貝さんがやってる感じって何のジャンルなんだ?」って調べたら、「ネオソウル」っていうジャンルらしいと分かった。
他のネオソウル系の曲も聴いてみたら、確かに好きだった。「ああ、自分ってネオソウルが好きなんだ」って、そこで気づけた。
ネオソウルって聞いたことなかったし、そもそもソウルって何?ネオって何?っていう状態。でも「自分はネオソウルが好きなんだな」ってところまでは掴めた。それ以降、自己紹介でも「ネオソウルが好きです」って言うようになった。
ただ、ネオソウルって基本的にビートは強いけどゆったりしてて、夜っぽい雰囲気で、ちょっと眠くなっちゃうような曲が多い。これに加えて「他にも好きなものあるな」と思ったので、その要素も改めて考えてみた。
ジャズの「要素」が好きだった
ジャズ自体が好きというより、ジャズのある種の要素が好きなんだと思った。で、要素で分解して調べてみたら、「アシッドジャズ」が自分に合ってそうだった。アシッドジャズは明確な定義があるわけじゃないけど、
・音が丸め
・後ろ乗りのグルーヴ感
・R&Bやファンクの要素が入ってる
っていう感じ。ファンク自体は前から好きだった。リズムが気持ちよく、ノリがたまらなく良い。
ギターのカッティングが好きだからというのもあるかも。
ビートの強さ、ブラックミュージック感
他にも「ビート強めな感じ」が好きだと分かってきた。ジャンルで並べてみると、
- ネオソウル
- アシッドジャズ
- R&B
- ファンク
- ヒップホップ
- ソウル
このへんが自分の好みの中心にある。どれも少しずつ似通ってるけど、微妙に違う。そして、どのジャンルも広い。だから、ただ「R&B好き」って言っても、それだけだと他人に伝わらない。
ジャンルだけじゃなく、アーティストで伝える
ジャンル名を言うだけじゃ伝わらないことが多い。だから最近はアーティストを出すようにしてる。ギタリストの名前を出してもあまり伝わらないことが多いけど、人に伝える時に言うのは
- WONK
- SPECIAL OTHERS
でもビート強めで、後ろ乗りで、音が丸くて、夜な感じ。そういう音が好きだなってのは確信してる。
まとめ
これまでの音楽遍歴の中で、「これは好き」「ここは好きじゃない」っていうのを繰り返してきた結果、ようやく言語化できてきた。でもそれもまだ揺れてるところもあるし、人に説明するのはやっぱり難しい。
人によって「ソウル」とか「ジャズ」とか言ったときの指してるものが違うし、R&Bなんてめちゃくちゃ広いから。アーティスト名とか演奏のニュアンスを合わせていかないと、なかなか本質的な共有ってできない気がしてる。
そんなわけで、自分の好きな音楽がなんとなく言葉にできるようになってきたって話でした。めちゃくちゃ長くなっちゃったけど、これからも好きなアーティストとか、音楽の話はちょくちょく書いていきたい。
ではまた。
コメントを残す